「おはようございます」。
たったそれだけの一言が、どうしてこんなにも苦しいんだろう――。
吃音やどもり、コミュニケーションが苦手な私にとって、朝の挨拶は毎日の試練でした。
「会社で挨拶できない」「出勤が憂うつ」そんな悩みを抱えながらも、なんとか社会で働き続けている方も多いのではないでしょうか。この記事では、吃音・コミュ障の私が体験した“会社生活のリアル”と、心が少しラクになる考え方をお伝えします。

日々の中で「挨拶が怖い」「どもってしまったらどうしよう」と悩む気持ち、私は痛いほど分かります。そんな苦しい毎朝が、どう変わっていったのかを振り返ります。
「おはようございます」が言えない――それでも働き続けているあなたへ
朝の挨拶ひとつで胸が苦しくなる…そんな毎日を送る中で、私が感じてきたことを素直に書いていきます。
まずは自分を責めないでください
「おはようございます」
この短い一言を、当たり前のように口にできる人は多いと思います。
でも、吃音やどもり、コミュ障で悩む私たちにとっては、朝のたった一言がどれほど高いハードルか、誰にも分かってもらえないことが多いですよね。
朝、会社のドアを開けるとき、
「今日はちゃんと挨拶できるだろうか」「声が詰まったらどうしよう」「また変に思われたら…」
そんな不安や恐怖で、胸がいっぱいになってしまう。
そんな経験、ありませんか?
実は、私自身も「もう会社に行きたくない」と何度も思ったことがあります。
「吃音 会社」「挨拶が怖い」「どもり 仕事」…そんなキーワードで、毎日のようにネット検索を繰り返していました。
挨拶に失敗しても、大丈夫。あなたの価値は変わりません
これまで数えきれないほど「うまく挨拶できなかった日」がありましたが、それでも気づいた大切なことがあります。
無理に「完璧」を目指さなくていい
「おはようございます」がうまく言えなくても、どもってしまっても、
それだけであなたの価値が下がることはありません。
むしろ、その悩みを抱えながらも毎日仕事に行き、人と向き合い続けていること自体が、
十分に立派なことなんです。
私はずっと、「きちんと挨拶できない自分」を責め続けてきました。
でも今は、「無理に完璧を目指さなくてもいい」と思えるようになっています。
朝、声が出なくても、目を見て軽く会釈するだけでいい。
その小さなアクションに、自分なりの誠意や気持ちを込めることこそが大切。
今ではそう考えられるようになりました。
「吃音がバレたら終わり」――そのプレッシャーが逆効果に
なぜ「たった一言」の挨拶がこんなにも苦しいのか・その理由を、私の経験と共に振り返ってみます。
「普通でいなきゃ」という社会的圧力
社会は、「あいさつ=大人のマナー」と教えます。
「元気に」「明るく」「はきはきと」あいさつすることが良しとされ、
それができない人は「変な人」と思われてしまう…。
私は小さい頃から、「どもり 恥ずかしい」「吃音は隠したいもの」と思い込んできました。
「失敗したらどうしよう」が頭から離れない
「朝イチで声が詰まったらどうしよう」「相手に変な顔をされたら嫌だ」
そんな不安ばかりが頭の中でどんどん大きくなっていきます。
特に、社会人になると「職場の空気を壊してはいけない」「上司・部下の前ではしっかりしなきゃ」という責任感もあり、自分を追い詰めてしまいがち。
「挨拶が怖い」と毎朝悩み続け、
「また明日も失敗したらどうしよう」と、
翌日の出勤がどんどん憂うつになる。
この「負のループ」に、私も何度も何度も陥ってきました。
吃音マネージャーとして過ごした“毎朝の戦い”
ここからは、私が実際に会社で体験した“挨拶の壁”と、それをどう受け止めてきたのかをお話しします。
入社初日からずっと続くプレッシャー
私が社会人として会社勤めを始めたのは、もう30年近く前のことです。
最初の頃は、毎朝の「おはようございます」だけでなく、
「はい」「お願いします」「失礼します」など、すべての言葉に過剰な緊張がありました。
出社するときの「お…おはようございます…」は、最初の「お」で必ず詰まってしまう。
エレベーターや更衣室で誰かと会うたびに、
「また詰まったらどうしよう」と心臓がバクバクする日々でした。
「会社の顔」としての重圧と孤独
現在、私は小売業のマネージャーとして働いています。
部下やパート・アルバイトさんたち、上司や他部署の人たち、毎日多くの人と顔を合わせます。
朝礼での「おはようございます」はもちろん、シフト交代時の「お疲れさまです」すら、
どもってしまうことが多くて、
「マネージャーなのに情けない」「信用されないかも」と自己嫌悪の毎日でした。
こんな失敗もありました――
ある朝、出勤直後にパートさんに声をかけようとしたとき、
「お…お、おはよう…ご、ざいます」と、ひどくどもってしまったんです。
パートさんはちょっと驚いたような顔をして、そのまま無言で離れていきました。
私はその後しばらく、自分の席で頭を抱えていました。
「やっぱり自分は社会人失格なんじゃないか」「また気まずくなったな」
朝のちょっとした失敗が、その日一日ずっと頭から離れませんでした。
「気持ちは伝わる」と教えてくれた小さな出来事
それでも、心が折れそうなとき、
私を救ってくれたのは意外な「ひと言」でした。
別の日、いつも静かに働いているパートのAさんが、休憩中にぽつりと言ってくれたんです。
「マネージャーって、静かだけどちゃんとみんなのこと見てくれてるよね」
その一言を聞いて、私は初めて「自分の気持ちって、言葉だけじゃなくても伝わるんだ」と感じたんです。
どもって挨拶できなかった日も、目を見て会釈したり、
後で「お疲れさまです」とメモを書いたり、小さな行動を続けてきました。
それをちゃんと誰かが見てくれていた――。
その時、私は少しだけ肩の力が抜けた気がしました。
吃音・どもりと向き合う会社生活のヒント
辛い朝を何度も繰り返しながら、私自身が見つけてきた「心がラクになる考え方や行動」をご紹介します。
「挨拶が怖い」あなたに伝えたい3つのこと
1. 「声が出ない日」があっても自分を責めない
私が一番伝えたいのは、「どもった自分」も「挨拶ができなかった自分」も、
全部あなたの大切な一部だということです。
苦手でも、苦しくても、それでも会社に行き続けている自分を、
ぜひ誇りに思ってほしいです。
2. 挨拶は“形”じゃなく“気持ち”が大切
会社での挨拶は、形式や発声の上手さが全てじゃありません。
目を見て会釈する、小さく手を挙げる、微笑む――。
あなたなりの「誠意」や「気遣い」は、ちゃんと伝わるものです。
3. 同じ悩みを持つ人とつながろう
「吃音 会社」「どもり 仕事」「挨拶が怖い」…
ネット上には、同じ悩みを持つ人がたくさんいます。
私はブログやSNSで、自分の気持ちを発信したことで、
少しずつ孤独感が薄れていきました。
一人で抱え込まず、気軽に誰かと悩みをシェアすることも、
心の負担を減らす一つの方法です。
吃音・どもりと会社生活で使える“自分なりの工夫”
最後に、毎日を少しでも穏やかに過ごすために私が実践している、小さなコツや工夫もお伝えします。
無理のない範囲で「朝のルーティン」を作る
- 朝、会社の玄関で深呼吸を3回する
- 会釈や目線だけでもOKと自分に言い聞かせる
- うまく言えなくても「まあいっか」と流す練習をする
こうした小さな“儀式”を続けることで、朝の緊張が少しずつ和らいできます。
どうしてもつらい時は「メモやチャット」も活用
直接声に出すのがつらい日は、
「おはようございます」とメモを渡す、
LINEや社内チャットでひと言送る、
そんなやり方でも十分です。
大切なのは「気持ちを伝えよう」とする姿勢です。
現代はコミュニケーションの方法も多様化しているので、
自分の負担を減らせる工夫を、どんどん試してみてください。
あなたの努力は、誰かがちゃんと見ている
どもって挨拶できない日も、
「おはようございます」が出なくて下を向いてしまう朝も、
それでも会社に行くあなたは本当にすごい。
大事なのは、「うまくやること」じゃなく、「続けること」。
どもり・吃音を抱えながら社会で働くのは、本当に大変なことです。
でも、その中で「自分なりのやり方」を模索し、
一歩一歩前に進んでいるあなたを、私は心から尊敬しています。
挨拶が怖いあなたへ、そっと贈りたい言葉
「自分だけがうまくできない」と落ち込む日もあるかもしれません。
でも、世の中には同じ悩みを持つ人が本当にたくさんいます。
この記事が、少しでもあなたの心を軽くし、
「明日もちょっと頑張ってみようかな」と思うきっかけになれば、とてもうれしいです。
同じような悩みを持つ仲間はいます。決してあなた一人だけではありません。
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